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遺言書の書き方~遺言書で何ができるのかを解説します~

2020.06.27

遺産を分ける際に、親族間で揉めてしまうことは少なくありません。2017年には遺産分割の調停件数が16,016件も発生しています。1997年は10,298件でしたので20年で約1.5倍になっています。この要因は、高齢化による相続件数の増加に加えて、核家族化によって親族関係が希薄になっていることが考えられます。親族間でトラブルが発生しないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?

遺産分割のトラブルを防ぐ手段の一つとして、「遺言書」の作成が挙げられます。財産を持っている人が生前に「遺言書」を作成して、遺産の分け方を決めておいてあげることで親族間のトラブルを未然に防げる可能性が大きく高まります。ただ「遺言書」の内容によってはトラブルの原因となってしまうこともありますので、今回は「遺言書」の必要性と書き方についてご説明します。

 

 

「遺言書」って何?

 

「遺言書」とは、自分が死んだ後に財産をどのように分割するかを示す文書です。

「遺言書」がある場合は、相続人たちはそれに示されたとおりに遺産を分割する必要があります。「遺言書」がなかった場合は、法定相続人が全員で話し合って分け方を決める必要があります。「遺言書」が相続人たちのトラブルを防ぐ鍵の一つがここにあります。

ただし「遺言書」の効力を上回る権利が存在します。

それは「遺留分」です。

指示された財産の分け前が「遺留分」に満たない法定相続人がいると、この法定相続人が足りない分を他の法定相続人に請求することができるのです。これを遺留分侵害額請求と言います。「遺留分」は相続において、ものすごく大事なポイントですので詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。→ 「遺留分について」

「遺言書」の内容は「遺留分」を必ず考慮して作成する必要があります。そうでないと、「遺言書」の存在自体が揉める原因になってしまう可能性があります。

 

「遺言書」の定義


民法960条に「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定められています。つまり民法に定められた規定通りでなければ「遺言書」は法的効力がない、つまり無効ということになります。

民法では、「遺言の方式」「遺言の効力」「遺言の失効」「遺言の取消」など様々な規定が定められていますので、遺言書を作成する場合には必ず要件を確認するようにしましょう。

 

「遺言書」でどんなことができるの?


「遺言書」を作成することにより、どんな効果があるのかを見てみましょう。

 

・遺産の分割方法を指示できる

「遺言書」では、誰に何をどのくらい相続させるかを指定することができます。法定相続人ではない人にも財産を譲ることができます。また代償分割等の方法を指示することもできます。

 

・隠し子を認知することができる

隠し子がいる場合に「遺言書」で認知することができます。「遺言書」で認知された子供は、法定相続人として遺産を相続することができます。

 

・遺言執行者を指定できる

「遺言書」の内容を執行する人を指定することができます。遺言執行者を指定しておくことで相続手続きをスムーズに行える可能性が高まります。

 

・保険金の受取人を変更できる

保険法第44条の規定により、「遺言書」で保険金受取人を変更することができます。

 

・相続人から排除することができる

特定の相続人から虐待や侮辱などの被害を受けていた場合、その相続人から相続人から排除することが可能です。この場合、遺言執行者が家庭裁判所に排除請求をします。ですので「遺言書」に遺言執行者も定めていなければいけません。また排除するための相当の理由がないと排除を認められません。

 

「遺言書」の書き方


「遺言書」には、事故や人身災害等の身に危険が迫ったような状況で利用できる「特別方式」と、「普通方式」があります。「普通方式」が通常利用するものですので、こちらだけお話していきます。「普通方式」の遺言書は自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類あります。それぞれの書き方をご説明します。

 

・自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言とは、自分で作成して自分で保管する「遺言書」です。費用もかかりませんし楽な方法と言えますが、効力のない「遺言書」になる可能性があったり、盗難・紛失・未発見などの危険性もありました。現在では、費用は掛かりますが自筆証書遺言も公証役場で保管することが可能になっています。

遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自筆し押印する必要がありますが、平成31年1月13日以降の自筆証書遺言は遺言の中の財産目録はワープロ等で作成することが可能になっています。

自筆証書遺言は、遺言者の死亡後に勝手に開封してはいけません。家庭裁判所に遺言書を提出して検認を受ける必要があります。

 

・公正証書遺言の書き方

公正証書遺言とは、2人以上の証人が立会いの下に、公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成する遺言です。公正証書遺言を作成するためには遺言者本人であることを証明するために実印と印鑑証明書が必要です。作成した公正証書遺言は公証役場で保管されます。

公正証書遺言は、証人が2人以上必要であったり手間がかかり費用も掛かりますが、公証人が入るために様式不備で無効になったりする恐れがなく、公証役場で保管するために紛失盗難や未発見の恐れもなく、家庭裁判所での検認手続きが不要となるために一番使用されている制度となっています。

 

・秘密証書遺言

秘密証書遺言は、自筆証書遺言と違い署名と押印だけ遺言者自身が行えばPCでの作成や第3者の代筆が認められています。よって遺言者自身か第3者の書いた遺言を封筒に入れて封入し、遺言に押印した印鑑と同じ印鑑で封印します。そして証人2人以上の立会いの下に公証人に提出し、公証人が所定の事項を封筒に記載したうえで、遺言者、公証人、証人が署名押印します。

公証人が遺言内容をチェックするわけではないので自筆証書遺言と同様に不備による向こうの可能性はありますが、遺言内容は誰にも知られずに遺言の存在だけを認識させることができます。遺言は誰にも見られたくない、公証人や証人の前で読み上げられたくないという人で自筆証書遺言では不安だという人の選択肢になります。

秘密証書遺言も自筆証書遺言と同様に勝手に開封してはいけません。家庭裁判所での検認手続きが必要となります。

 

 

まとめ

 

上記に記述しました3種類の遺言方法「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「「秘密証書遺言」からどの方法を選択するのかは、その状況、考え方や思い入れ等によて考える必要があります。以前は保管の問題から「公正証書遺言」を選択することが多くなっていましたが、今は「自筆証書遺言」も公証役場で保管できますのでこちらを選択する可能性も大きくなっていると思います。自分にはどの遺言方法がいいのかを見極める必要があります。

そして「遺言書」を有効なものとするためには様式に不備のないものとしなければいけませんし、相続人の間で揉めないように「遺留分」に考慮した内容にしなければなりません。

しっかりとした「遺言書」を作成するためには相続の専門家が必要だと思います。

また相続税がかかる方は、分割のやり方で相続税を安くすることも可能になります。「遺言書」作成の際に相続専門の税理士等のアドバイスを受けることもお勧めします。

エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、「遺言書」内容のご相談や、相続専門の税理士先生への橋渡しも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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