医療法人の流れ
2018.06.21
前回医療法人の事業承継について記載させていただきました。https://n-concord.com/magazine/post-107/
今回は医療法人の歴史について述べてまいります。
1949年の医療法改正により1950年8月から医療法人制度が施行されました。
当初の医療法人は開設要件として、医師、歯科医師が常時3人以上勤務しているという条件を満たす必要がありました。
しかし1986年施行の第1次医療法改正により、、診療所経営の近代化のため1人または2人でも開設が認められるようになりました。このことにより個人開業の診療所でも医療法人開設が可能となり、医療法人件数が大幅に増加しました。
医療法人は公益性の強い団体であるという解釈ながら、医療法人の中に蓄積されていく利益は出資者に帰属するという性質を持っていました。つまり医療法人の価値は出資者の財産であるということなのです。
そこで、2007年施行の第5次医療法改正で、医療法人解散時の残余財産の帰属先の制限や、社会医療法人制度が創設され、自己資本比率による資産条件が廃止されるなどが決められました。
この時に以下のような医療法人社団の類型となりました。
〇持分の定めのない医療法人
・持分の定めのない法人
・基金拠出型法人(持分の定めのない社団医療法人がその資金調達手段として基金を選択したもの)
・社会医療法人
・特定医療法人
〇持分の定めのある医療法人
・持分の定めのある法人
・出資限度額法人(社員の退社及び残余財産の分配にあたりその出資額を払戻限度額としたものであって、持分がないわけではない。つまり出資金額までが出資者の財産権であるということ)
以降、「持分の定めのある医療法人」は設立できなくなり、既存の「持分の定めのある医療法人」はいずれ持分の定めのない法人になる「経過措置型医療法人」とされました。
2014年には「持分なし医療法人への移行促進策」として認定医療法人制度がスタートし、医療法人の出資持分放棄を促していきました。(2017年9月まで)
しかしながらこの制度には、一定の要件をクリアしないと出資持分放棄時に医療法人に対して贈与税課税が発生してしまうという内容でした。上記一定の要件には、親族関係者が役員の1/3以下にならないといけないなど一人医療法人には使いづらい内容があったのです。
そこで、2017年9月の当制度期限が来る際に、内容を改正して制度がさらに3年間継続されることとなりました。(2020年10月1日~3年間延長されています)
この改正により、認定医療法人となった法人は、出資持分放棄された際に医療法人への贈与税課税をされなくて済むことになりました。
よって医療法人事業承継対策の選択肢が広がりました。
改正された認定医療法人制度についてはこちらをご覧ください→ 「医療法人事業承継と認定医療法人制度」
しかしながら、医療法人出資持分を放棄するということは財産権を放棄するということです。制度を利用するかどうかは財産状況や事業承継などをよく見極め考えて決めていく必要があります
弊社は状況に応じた最適な選択のお手伝いをさせていただいております。お気軽にお問い合わせください。→ 「お問い合わせ」