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遺言書を書かなければならない理由

2021.04.01

 

相続対策とし、とても有効な手段の一つに「遺言」があります。

ですので「遺言」を作成しましょうとご提案することが多くあります。「遺言」のご提案をすんなり受け入れてくれる方もいらっしゃいますし、どうにも首を縦に振ってくれない方もいらっしゃいます。

 

遺言を作成しない理由


遺言を拒否される理由を以下に列挙してみます。

・うちの家族は仲がいいので話し合いで決められる

・親・配偶者の相続でも遺言が無かったから今回もいらない

・死んだ後のことは考えない

・ポリシーで作成しない

・財産がないから関係ない

この他にも色々と理由はあるのでしょうが、私が思い出した言葉は大体以上のとおりです。

相続法改正以来、相続対策がクローズアップされ遺言を書くことがブームのもなっていると聞きますが、実際にはどのくらいの方が遺言を作成しているのでしょうか?

死亡された方に対して約13%であり、9割位の方は遺言を作成していないそうです。まだこのような現状なのです。

では遺言は本当に必要ないのでしょうか?

いえいえ、そんな事は決してありません。

 

遺言作成が必要な理由


一つ目の理由は、相続人が認知症になってしまっている可能性があるということです。

遺言が無い場合の遺産分割では、遺産分割協議が必要となります。しかし相続人が認知症になってしまっていると意思能力が喪失していますので遺産分割協議ができないのです。この場合遺産分割協議を行うためには、認知症の相続人に成年後見人を付けなければなりません。現在、相続手続きのために成年後見人の選任申立をする件数は年間約6,000件もあります。遺言書を作成していればこの申立ては必要なかったはずです。

では、成年後見人を申立てた場合の遺産分割協議はどうなるのでしょうか?

成年後見人が遺産分割協議をする際には「本人の法定相続分を必ず確保します」という旨の誓約書を家庭裁判所に提出させられます。つまり認知症の相続人が配偶者であった場合の遺産分割協議書は、相続財産の2分の1以上を必ず受け取る内容にしなければならないということになります。2次相続を考えると出来るだけ子供に多くの遺産を相続させた方がよいケースでも、2分の1は配偶者が受け取らなくてはいけませんので柔軟な遺産分割協議ができなくなってしまいます。有効な遺言が作成されていればこのような事態を避けることができます。

 

二つ目の理由は、相続人が未成年である可能性があるということです。

子供がまだ未成年のうちに親が他界してしまうケースが当てはまります。未成年の子供が契約行為を行う場合は、通常親権者が代理して行うことになります。しかし相続人の代理を親権者が行えるのでしょうか?相続の場合は親権者も相続人となります。つまり相続で、親が子供の代理をしますと利益が相反してしまうため、親が子供を代理することが出来ないのです。

そこで以上のようなケースでは、子供の特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てる必要が出てきます。この特別代理人は祖父母や叔父、叔母、従妹などの親族で大丈夫です。特別代理人の候補者がいない場合は、弁護士や司法書士等の専門家に依頼します。

特別代理人を立てれば、相続人が未成年者でも遺産分割協議を行えますが、一つ問題があります。それは特別代理人が遺産分割協議を行う場合に、未成年者の法定相続分の確保が原則必要となることです。上記一つ目の理由の問題点と同様ですね。法定相続分を確保しない内容とするためには、合理的な理由を以て上申書を家庭裁判所に提出し認めてもらう必要があります。すなわち、柔軟な遺産分割協議が難しくなってしまうことになります。

 

以上、遺言を作成しなければならない理由を2つ述べてまいりました。

この他にも、スムーズな遺産分割のためなど遺言を作成したほうがいい理由は沢山あります。遺言についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください→ 「遺言書の書き方」

これを機会に一度遺言作成をご検討してみてはいかがでしょうか。エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、そのご検討のお手伝いをします。お問い合わせはこちらから→ 「お問い合わせ」

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