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相続トラブルになりやすい家族の特徴

2022.11.13

 

うちは相続なんて関係ない。

うちの家族が相続で揉めるなんて考えられない。(考えたくない?)

自分が死んだ後のことなんて考える必要ない。

この様なご意見を聞くことが、しばしばあります。

こう考えてしまう原因として、相続という言葉を聞くと相続税のことを連想してしまうことが多いからではないかと私は考えています。そうしますと、「うちは残すような財産は無いから相続は関係ない」となってしまいます。

果たして、それでいいのでしょうか?

答えは否です。

相続は税金のことを考えることも大事ではありますが、財産をどうやって分けるのかということがもの凄く大事なのです。

令和3年の司法統計年報によりますと、遺産分割事案で持ち込まれた件数が6,934件。その中で、遺産が、5,000万円以下が約8割となっています。実は遺産が多くなくても遺産分割でトラブルになっているということです。むしろ遺産が少ない方がトラブルになる可能性が高いと言えるかもしれません。

では、どのような家族がトラブルになりやすいのかを見ていきましょう。

 

相続でトラブルになりやすい家族の8つのケース


①相続人の中で仲が悪い人がいる

親子間や兄弟間の仲が悪いと話し合いがスムーズに進まなくなることは想像に難くないですよね。特に両親がいなくなった後に仲が悪い兄弟だけで財産の分割を決める場合には生前の対策無くして相続の手続きは完了しないと思っていてよいでしょう。

②介護負担が偏っていた

特定の相続人に介護の負担が偏っていた場合にも、遺産分割が円滑にいかなくなる可能性を高めます。相続人の配偶者に介護負担が偏っていた場合も同様ですので注意が必要です。

③特定の相続人にだけ生前贈与されている

特定の相続人だけに生前贈与されていた場合は、生前贈与された財産も含めて遺産分割を考える必要があります。また教育費の偏りが大きい場合にも注意が必要です。これらを考慮しない場合は、トラブルに発展する可能性が非常に高くなります。

④特定の相続人が財産管理している

老いた親が自分で財産を管理することが難しくなり、相続人の誰かが親の財産を管理することはよくあります。こうした場合に、管理している相続人がお金を使いこんでしまうことがあります。また管理者が使い込んでいなくても、管理者以外の相続人が疑心暗鬼になり管理者が勝手にお金を使っているのではないかと思ってしまうこともあります。親の財産を管理する場合には相続人同志で話し合いと情報共有をしていくことが重要です。

⑤被相続人が再婚している

被相続人が再婚している場合には前妻との子供がいることもあります。相続が起きるまでその存在を知らないこともありますし、知っていてもほとんど会ったことが無いこともよくあります。前妻の子、現在の妻、現在の妻の子という立場の人たちが突然遺産分割の話し合いをすることはハードルが高そうです。

⑥遺産の種類の割合が、不動産等が多く現金が少ない

相続人が複数いる場合は遺産を分けなければなりません。遺産が全て現金であれば分けることは簡単です。法定相続分通りにぴったり分けることもできますし、貰った遺産から相続税を支払うこともできます。しかし、不動産は現金のように分けることができません。不動産のように分けることが難しい財産の割合が大きい場合には、様々な方法を検討して分割で揉めないようにするとともに相続税の対策をしていかなければなりません。

⑦被相続人が事業をしている

被相続人が事業をしている場合は、通常の相続対策に加えて自社株式や後継者の問題も考える必要があります。長い間事業を行っていた場合には自社株式の価値が莫大に膨れ上がっていることもありますので多額の相続税が発生することもあります。後継者を決めて育て、自社株式を集中的に後継者へ集まるようにする必要もあります。後継者以外の相続人には遺留分のケアをする必要も出てきます。また納税資金の確保が必要になるケースも多いでしょう。(遺留分についてはこちらをご参照ください)→「遺留分と生前贈与」

⑧遺言が無い

遺言がない場合の相続は、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。今まで見てきましたトラブルになりやすい家族の「仲が悪い相続人」「前妻の子供と現在の妻の子供」であっても遺産分割協議をしなくてはなりません。仲が良い兄弟姉妹でも親がいない状況で財産の分け前の話しをするのは一筋縄ではいかないかもしれません。親が財産の分け方を事前に決めておくことのできる遺言は相続に必須かもしれません。今は自分で作成する自筆証書遺言もルールが変わり以前よりは利用しやすくなっています。詳しくはこちらをご参照ください。→「自筆証書遺言にルールが変わります。(法務省)

 

まとめ


相続でトラブルになりそうな家族のケースを見てきました。お読みいただき、ご自身の相続でも当てはまるかもしれないと思っていただいた方もいらっしゃるかもしれません。

相続でトラブルにならないようにする第一歩は、生前にきちんと家族のコミュニケーションを取り話し合うことです。難しいかもしれませんが、努力をしてみる価値はあります。

それでも話し合うことが難しければ、遺言は必ず作成しておいたほうが良いでしょう。遺言は親が子へ残してあげることのできる最後の意思表示と想いです。子供たちが親の想いを知ることができるのは、トラブル防止の観点からも非常に大きいと思います。そして遺言があれば遺産分割協議をする必要も無くなります。ただし、遺留分を考慮し無効とされないない内容の遺言を作成することは必須です。

また生前の相続対策を進めていく段階で被相続人が認知症になると対策を進められなくなるリスクがあります。そのために家族信託等も選択肢になってきます。

その他、様々なケースの相続対策を考えるにあたり、それぞれの分野の専門家に相談することも大切です。エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、相続対策を進めていくお手伝いをしてまいります。お問い合わせはこちら→「お問い合わせ」

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