相続手続きに必要なもの
2024.10.19
親が亡くなり悲しみに暮れる間もなくやってくるのが相続手続です。
この相続手続きは、一人の人間が何回も経験するものではありません。初めての手続きとなる方も多いことでしょう。
では相続手続きに何が必要なのでしょうか?
最初に相続人が誰なのかを把握する必要があります。相続人なんて家族しかいないんだから分かってるよという声も多そうですが、実はしっかりと調査をしたほうがいいこともあります。調べてみたら被相続人には離婚歴があって先妻との間の子供がいたなんてこともあるのです。
相続人の確定
では、どうやって相続人の特定をしていくのでしょうか。
被相続人が転居などで複数の本籍地があったり遠かったりした場合、以前は相続人たちが各地の役場に出向いたり、郵送で請求したりしていました。ところが現在は最寄りの役場に行けば事足りるようになっています。2024年3月より全国の市区町村と法務省をつなぐ「戸籍情報連携システム」が稼働し、最寄りの役場で申請すると全ての戸籍謄本をまとめて入手できるようになったのです。このことによって相続人の手間がかなり省けるようになりました。
財産の把握
相続人を特定しましたら次は相続財産の把握です。
遺言を残してくれていれば遺言に沿って遺産分割を行っていきますが、遺言が無い場合は相続人たちが自身で遺産を調査して分け方を決めなければなりません。
先ずは代表的な相続財産として預貯金があります。通帳やキャッシュカードや郵便物などを手掛かりに金融機関に問い合わせますが、全てを把握できたかどうか心許ないところもあります。そこで今後はマイナンバーを活用して全ての口座を把握できるように国は動いてます。このシステムは2024年度末の稼働を目指しているようです。
次に預貯金に続いて大きな金額になることの多い不動産があります。不動産も自宅だけといった場合は把握するのに問題は無いですが、複数の不動産を所有してる場合には把握するのに骨が折れる作業になることもあります。現在は固定資産税納税通知書を確認したり市区町村の名寄帳を閲覧したりして調査します。しかし名寄帳は市区町村の管轄内の物件しか閲覧できません。そこで2026年2月2日より「所有不動産記録証明制度」がスタートとします。これは法務省が登記簿の名義人ごとに所有不動産をリスト化して相続人等が一括して情報を請求できる制度です。この制度がスタートしますと所有不動産の把握がグッと楽になることでしょう。
この他に有価証券は、上場株式や上場投資信託であれば証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報」に開示請求をすることができます。生命保険契約は、生命保険協会の「生命保険契約紹介制度」があり契約の調査を依頼することができます。
まとめ
今まで見てきましたように相続人を確定して財産を把握することが出来ましたら、どのように分けうのかを決めていくことになります。
相続の手続きでは、相続放棄をできるのが相続開始を知ってから3か月以内であったり、申告・納税が10か月であったりと期限が付いて回ります。後手後手に回りますと、債務が沢山あったのに相続放棄できなかったり、相続税が軽減される優遇措置を使えなかったりしてしまいます。
相続の手続きはできるだけ迅速に行動していくことが得策であると言えるでしょう。そのために今回述べました相続人の確定と財産の把握をできるだけ早い時期にしていくことをお勧めします。