不動産を共同相続した場合の、不動産管理について
2018.07.19
相続が発生した時、遺言も無く遺産分割協議もしていない状態では遺産は共有状態となります。
例えば、相続人が妻Aと子B・子C・子Dの合計4人で相続が発生したケースを考えます。
この場合には法定相続分は妻2分の1、子6分の1ずつとなりますので、この割合で持分権利を共有している状態となります。
この共有状態のままで不動産を管理するための法律はどうなっているのかを、今回は確認していきましょう。
(1)共同相続人によって相続された不動産管理の一般原則
①妻Aは2分の1の持分に応じた使用をすることができます。(民法249条)
ただし「管理に関する事項」であれば、過半数の同意が必要なので、A一人では決定できませ
ん。つまり子B・C・Dいずれか一人以上の協力が必要となります。
*「管理に関する事項」
管理行為といわれ、処分に至らない程度での共有物の利用・改良行為
例えば、共有物の模様替え、共有地の地ならし、民法602条の範囲内で新たに
賃貸借契約を締結すること、又は賃貸借契約を解除すること等。
②「保存行為」であれば、ABCDそれぞれ単独でできます。(同条但書)
*「保存行為」
目的物の現状を維持する行為をいい、例えば、相続財産に含まれた建物を修理する等。
ただし大修繕にならない修理とされます。
③「共有物に変更を加える行為」については共有者ABCDの全員一致が必要となります。
*「共有物に変更を加える行為」
共有物を物理的に損傷し、あるいはこれを改変する行為をするなど。
例えば、共有物を全部売却してしまうこと、
民法602条の範囲を超える賃貸借契約を締結すること、
共有山林を伐採すること、共有の住宅を事務所に改造すること等。
以上のように不動産を共有で相続した場合、その不動産を管理・処分をしようと思っても、思うがままにならないケースが多発することが予想されます。
例えば不動産を売却しようと思っても、共有者の誰かが売却価格に不満を感じ、売却に応じないなどが考えられます。
共有状態のまま次の相続が発生した場合に、さらに共有者が増えて、共有者人数が10人以上いる状態になるかもしれませんし、実際になってしまっている不動産もあります。
相続を考える際に、不動産が共有状態になってしまうことは出来るだけ避けるようにすすめていくことが肝要と思います。
そのために被相続人が、トラブルが生じない内容の遺言を作成するなどの対策が有効になってきます。
私たちエヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、そのお手伝いをしてまいります。