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不動産の相続と家族信託考察

2018.07.30

不動産の相続で、家族信託を活用することが有効な例を見ていきます。

以下のケースを見てみましょう。

 

相続財産:自宅(土地・建物)5000万円、現預金1000万円

被相続人:母A

相続人:長男B(配偶者あり、子なし)、長女C(独身)

状況:母Aの自宅に長男B家族が同居。長女Cは一人暮らし。

遺産分割方法:長男Bは自宅(土地・建物)、長女Cは現預金1000万円を相続。(長男B夫婦がいなくなったら、いずれ長女Cがこの自宅に住むつもり)

この段階での相続は長男、長女ともに不平不満は無く、遺留分侵害額請求もせずに、円満に相続が完了したとします。

 

次に自宅を相続した長男Bが亡くなりました。

母Aから受け継いだ自宅は誰が相続するのでしょうか?

この場合の法定相続人は、長男Bの配偶者と兄弟(このケースでは長女C)です。(両親はもういない状況です)

相続財産は、自宅と現預金(2000万円)とします。

遺産分割方法:長男Bの配偶者は自宅と現預金1000万円、兄弟である長女Cは現預金1000万円

長男Bの配偶者はは元々住んでいる家だし、ある程度の生活費も必要であることから、長女Cも納得して円満に相続完了したとします。

 

さて次の自宅相続はどうなるでしょうか?

前回に自宅を相続した長男Bの配偶者の法定相続人は、子がいないので配偶者の親・兄弟となります。

そうです。元々自宅所有者の一族であった長女Cは、なんと法定相続人ではないのです!

このケースの自宅は配偶者が遺言により遺贈などしてくれないと、長女Cが相続することはできません。配偶者一族所有の不動産ということになります。長女Cも天国の母Aと長男Bもびっくりです。

 

こうならないためには、どうしたらいいのでしょうか?

一つ目の方法としては、上述しましたように遺言があります。

ただし遺言は自分自身の相続の遺産分割方法を指示することはできても、自分の次の次の相続に対して遺産分割方法を指示できません。ですので、上記のケースで考えると長男Bの配偶者が、長女Cに遺贈する旨の遺言を作成するということになります。血族ではなく姻族の長男B配偶者にこの内容の遺言を残してくれるかどうかは、かなりの不確定要素があると思います。

そこで今回は2つ目の方法をご紹介します。

それは、家族信託です。

信託契約は今はこうする、次はこうする、次の次はこうするといった内容で作成することができます。

これを利用して母Aが存命のうちに、自分の相続時、長男B相続時、長男配偶者相続時にどうするかを決めておくことが可能になります。

次回はこの家族信託についてもう少し詳しく述べてまいります。→「不動産の相続と家族信託考察②」

 

 

 

 

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