空き家処分の3000万円控除について
2018.08.13
今回は、Nマガジン「空き家対策の実態」で記載しました空き家を売却した際の特例の詳細を述べてまいります。
この特例は、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの時限措置です。(この制度は令和5年12月31日まで延長されています)
相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋または被相続人の居住用家屋の敷地等を、上記期間内に売却した場合に、一定の要件に当てはまると譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除できる制度です。
これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。
この制度を適用するための一定の要件を以下に記します。
〇被相続人居住用家屋として特例適用の要件(すべて当てはまることが必要)
・相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋
(要介護認定を受けて老人ホームに入所する等、特定の理由で相続の開始直前に居住の用に供されておらず一定の要件を満たす場合は被相続人居住用家屋に該当します)
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物登記がされている建物でないこと
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
〇特例を受けるための他適用要件
・相続または遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得した者が、その取得した被相続人居住用家屋またはその家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること
(家屋は譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。家屋・敷地どちらも相続の時から譲渡まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されたことがないこと)
・相続または遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得した者が、その取得した被相続人居住用家屋の全部を取り壊した後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること
(相続の時から取り壊し等の時まで、相続の時から譲渡の日まで事業の用、貸付の当または居住の用に供されたことがないこと。取り壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の用に供されたことがないこと)
・相続開始のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・売却代金が1億円以下であること
・売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収容等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
・同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと
・親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと
特に注意が必要なこと
・売却代金が1億円以下とありますが、この特例の適用を受ける被相続人居住用家屋と一体として利用していた部分を別途分割して売却したり、他の相続人が売却しますと、当該敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する12月31日までの期間の売却代金は合算されます。この合算された金額が一億円を超えますと特例適用ができなくなります。すでに適用していた場合には修正申告が必要となってきます。
・売却相手で特別な関係がある人には、内縁関係の人や特殊な関係にある法人なども含まれます
・被相続人居住用家屋とは、相続開始の直前において被相続人の居住用の用に供されていた家屋となっており、相続直前に被相続人が高齢者住宅に居住していたなどの場合には特例適用されない可能性があります(国税庁ホームページのコード3307をご参照ください)
この特例適用したい場合には、被相続人の生前から適用要件を満たすように行動を選択する必要性もあります。
不動産の処分等をご検討される場合に、どのような特例等があり、どうすれば特例を適用できるのかなどを専門家にアドバイスを求めていくことも非常に有効です。
私たちエヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、そのご検討のお手伝いをしてまいります。
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なお、税務の取扱等については令和3年2月現在の税制・関係法令等に基づき記載しており、今後税務の取扱等が変わる場合があります。また、個別の税務取扱については税理士や所轄の国税局・税務署等にご確認ください。