生命保険の死亡保険金受取人と相続
2018.08.16
生命保険の契約は、契約者・被保険者・保険金受取人を設定します。
契約者は、保険料を支払い、解約をする権限等を持っている人。
被保険者は、その保険契約の保険対象になっている人。
保険金受取人は、文字通り保険金を受け取る人を指します。
こちらをお読みいただいている皆様には釈迦に説法かもしれませんが、生命保険料は保険契約者が支払う保険加入料で、生命保険金は保険会社から支払われる金銭です。(保険料と保険金の言葉が混同されて使用されていることが散見されるため、念のため記しました)
保険金には、死亡保険金、高度障害保険金、満期保険金等があり、ほとんどの契約で死亡と高度障害の保険金はセットとなっていて、保険証券にも死亡・高度障害保険金と記されているものが多いです。
死亡保険金は、
被保険者の死亡を原因として支払われます。また、ほとんどの生命保険契約にはリビングニーズ特約が無料で付帯されていまして、余命6か月と医師から宣告される病気・病状になりますと一定の死亡保険金を生前に受け取ることができます。(最終の支払判断は医師ではなく保険会社が行います)その他要介護4,5と認定されると死亡保険金を年金受取方式で生前に受け取れる制度などもあります。
高度障害保険金は、
約款に定められた以下の状態になってしまった時に支払われます。
・両眼の視力を全く永久に失ったもの
・言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
・中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
・両上肢とも手間接以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・両下肢とも足間接以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢を手間接以上で失い、かつ、1下肢を足間接以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢の用を全く失い、かつ、1下肢を足間接以上で失ったもの
(公益財団法人生命保険文化センター)
高度障害保険金支払い事由の高度障害とは、約款の定めるもので、国から障害1級、2級に認定されていることなどは関係がありませんので、注意が必要です。
保険金受取人の保険金は、
①死亡の場合は死亡保険金受取人、②高度障害やリビングニーズ特約による保険金受取は被保険者、③満期保険金は契約者が受け取ります。
保険金を受け取りますと、相続税・贈与税・一時所得などの課税対象になりますが、上記②のケースで被保険者が保険金を受け取りますと非課税です。課税対象の契約形態につきましては「相続対策としての生命保険②」https://n-concord.com/magazine/post-178/参照
さて死亡保険金受取人は誰でもなれるのでしょうか?
基本的にはなれます。しかし遺産トラブル発生の可能性も高まりますので、それぞれ保険会社で規定を定めています。実際は2親等ないし3親等以内の親族となっていることが多いでしょうか。「被保険者の法定相続人」という受取人指定方法もありますが、誰が受け取るか定められたおらず法定相続人が複数いる場合は揉める原因になってしまうかもしれません。ですのでこの指定方法を引受けない保険会社も多いです。
保険金受取人は、契約者が指定します。(保険会社の引受け範囲内で)
平成22年の保険法改正以降は遺言で生命保険金受取人を変更することも可能になりました。ただし法的に有効な遺言である必要がありますので、この制度を使う場合は専門家などのアドバイスなどを受けて万全を期すことも大事です。
エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社はその万全を期するお手伝いをします。