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Nマガジン

中小企業の事業承継と新事業承継税制を考える③

2018.08.27

前回まで事業承継制度の概要を記述してまいりました。https://n-concord.com/magazine/post-286/

平成30年からスタートした新事業承継制度は、中小企業事業承継をし易くする制度となっています。

基本的には経営者等が所有している自社株式を、後継者に引き継ぎやすくする制度です。

自社株式を後継者にバトンタッチしていく方法として、贈与、譲渡、相続があります。

いずれの方法を選択するにしても、自社株式の価値を決めなくてはなりません。

中小企業等の非上場株式は、市場に流通しないために上場株式の株価のように客観的な評価数値がありません。そこで国税庁の「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評価」に基づいて評価していくことになります。

その評価方法には、類似業種比準方式、配当還元方式、純資産価額方式があります。

そして会社の規模や株主の同族・非同族などによってどの評価方式をいくらの割合で使うかが定められています。

中小企業の多くは規模がそれほど大きくない法人が多く、株式評価で純資産価額方式を使う割合が大きくなります。

戦後、もしくは昭和30年代、40年代に企業を創設して、現在までしっかりと企業運営を行ってきていますと創業当初より大幅に企業資産が増加していることも多々あります。

資産の増加は自社株式の価値増大に直結しますので、思っている以上に自社株の株価が高くなっている中小企業が沢山あります。

この価値の高くなった自社株式を、贈与、譲渡、相続いずれかの方法で後継者にバトンタッチしていくことになります。

しかし贈与、譲渡、相続いずれの方法にも、贈与税、譲渡所得、相続税の課税が生じます。

贈与税、相続税は後継者が納税者となり多額の納税が必要になります。

また譲渡の場合は、後継者が自社株を買うということですので、後継者に多額の買い取り資金が必要となります。

上記の資金を用立てできないために会社を引き継ぐことが困難になってしまうという事態を回避するために、今回の新事業承継税制制度が創設されました。

自社株式を後継者へバトンタッチする際に生じる贈与税や相続税の納税を猶予してくれる制度です。

そこでタイミングを見計らって自社株式を贈与等をしていく方法が事業承継対策として採用されていくことになります。

この対策をする際に、生命保険を使うことも大変有効かと思います。

契約者=法人、被保険者=先代経営者もしくは後継者等、保険金受取人=法人

という契約形態の生命保険に加入します。

生命保険の種類は保険料が全額損金算入で解約返戻金があるタイプの死亡保険です。

(現在このタイプの生命保険に関して国税庁から生命保険会社へ商品に対するお伺いが実施されているところで、いつまで販売されるか等については注視していくことが必要です)

(2019年6月28日に改正法人税基本通達が発遣され最高解約返戻率により損金算入額が決まる経理処理となっています。これにより全額損金算入できる法人契約の生命保険は最高解約返戻率が50%以下か年間保険料30万円以下のカケステ型医療保険となっています)

全額損金算入ということで自社株式の価値を下げていく効果があります。

またこの保険で形成した資金を先代経営者の死亡退職金の原資にして、死亡退職金受取人を後継者にします。

そして後継者が受け取った死亡退職金を遺産分割対策の資金として使うことができます。

後継者以外の相続人から遺留分減殺請求を起こさせないために「代償分割交付金」として使ってもらうのです。(代償分割交付金詳細はこちらを参照→ https://n-concord.com/magazine/post-162/

生命保険は事業承継対策をより有効にするためには、非常に有効な手段となり得ます。

エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、皆様の事業承継がより良いものとなりますように最適のアドバイスをしてまいります。

 

 

 

 

 

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