生前贈与対策に使う一時払い生命保険について
2019.02.04
平成27年1月1日からの相続税基本的増税以来、相続対策がクローズアップされてきました。
相続対策の一つに「生前贈与」があります。
死んだ後に財産が移転するのが「相続」、生きているうちに財産を移転させるのが「生前贈与」です。
「生前贈与」の効果を以下に見てみましょう。
・被相続人(親等)の相続財産が増えるのを抑えたり減らしたりできること
・贈与税非課税枠を上手く使って、相続税よりも低い税率で財産を移せたり無税で財産を移せること
・収益不動産物件を贈与することにより子等の収入を増やし、将来の相続税支払い準備ができることや
賃貸経営に早い時期から慣れさせること
・現金を贈与することにより相続税納税資金を作れること
・親等が子等のためを考えて対策を実行していることを示せること(上手く示さないと子が無駄遣いを
するだけ等の逆効果も表れてしまいます)
と沢山あります。
さて、昨今この「生前贈与」対策を上手に使うための生命保険商品が販売されています。
どんなものかというと、一時払いで保険料を支払い外貨もしくは円貨で運用していく商品です。
そして一定の時期に生存給付金を受け取っていきます。ポイントは生存給付金の受取人を親本人ではなく、子や孫にすることができる点です。
こうして子や孫が受け取った生存給付金は贈与財産となりますが、贈与税基礎控除の年間110万円以内であれば贈与税がかかりません。(生存給付金以外に受けとっている贈与財産があれば合算する必要があることに留意が必要です)
通常、毎年100万円を贈与することを10年間続けた場合に税務署に合計1000万円の定期金贈与とみなされて1000万円に対しての贈与税がかかる可能性があります。
しかし、この保険商品の生存給付金で毎年100万円を贈与しますと定期金とはならなくなります。なぜならば生存給付金は親本人が生きていなければ給付されず、給付金受取人の変更が可能なためです。
さらに贈与契約書を毎年作成する必要が無くなるそうです。(通常の暦年贈与は、毎年親子の署名捺印をした贈与契約書を作成することが望ましいとされています)
この商品群は一時払商品で資産運用しながら生前贈与できると謳われていますが、資産運用としては少し弱いようです。円建ての保険商品は現状積立利率が低いのは当たり前ですが、外貨建ても他の一時払商品よりも積立利率が低いので、単に資産運用を望まれるならば他を選択するべきでしょう。
目的や状況により商品を選択していくことが必要と考えます。
(税制は2019年時点の制度です。税制は変わる可能性もありますのでご検討の際には税理士等に確認する必要があります)
エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、その考えのお手伝いを致します。
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