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Nマガジン

相続と感情

2019.09.08

相続対策というと多くの方が相続税のことを気にします。

ですので相続税がかかる財産を持っていないと、対策をする必要は無いと考えている方も沢山います。

確かに税金を払う必要が無いので、何もする必要は無さそうです。

が、果たしてそれでいいのでしょうか?

ここで以下のようなケースを少し考えてみましょう。

 

被相続人:父

相続人:母、長男、長女

相続財産:自宅(土地・建物)5000万円、現金・預貯金6000万円

 

この相続で、長男が以下のように相続財産を分割しようと提案しました。

 

母:自宅(土地・建物)5000万円、現金・預貯金3000万円

長男:現金・預貯金1500万円

長女:現金・預貯金1500万円

 

整った感じの遺産分割ですね。

母には生活費も考慮して自宅と多めの生活費3000万円を相続してもらい、残りを兄弟で仲良く半分ずつ相続する提案です。

一見、円満な相続に見えます。もちろん母は即答でOKでした。長女もすんなりOKを出すかと思っていましたが、どうも渋い表情をしていてOKを出しません。

どうかしたのかと問いますと、長女は「お兄ちゃん、ずるい」と言います。

長男が「何がずるいんだ?」と聞き返しますと、

長女は「お兄ちゃんだけお父さんにかわいがってもらっていて、大学も行かしてもらってる。お父さんは私の事なんか目に入っていなかったし、私は大学にも行っていない。お兄ちゃんは学費をいっぱいかけてもらってるんだから、相続財産を1500万円ずつじゃ不公平だ。」と言います。

 

こうなってしまうと、その後はどうなるのでしょうか?

 

最悪なのは、けんか別れになることです。

例えば、長女が不満の理由を吐き出した後に長男が、「お前が大学に行かなかったのは勉強しなかっただけだろう。俺は必死に受験勉強して大学に入ったんだ。」なんていう言葉を返したらもう大変です。

長女「お父さんはお兄ちゃんばっかに勉強を教えてた。お小遣いだってお兄ちゃんの方が沢山貰ってた。お父さんは私の事なんか全然相手にしてなかったんだから。」

長男「お前は何にも分かってない!」

といった具合に泥沼にはまってしまうかもしれません。

 

長男が「そうだな。俺は学費を大分かけてもらったから、お前は2000万円で俺は1000万円でいいや。これでどうかな?」と大人の対応をすれば丸く収まるかもしれません。

以上のケースを見ていくと、相続には人間の感情介入がかなりのウェートを占めてくることがお分かりになるでしょう。ですので最初から何も決めごとが無い中でこのような対応をしていくことは確実性に欠けます。上手くいくかもしれないし、上手くいかないかもしれない状態ですね。

 

この確実性を上げていく方法として、父が生前に遺言を残すことが挙げられます。

配偶者の住居と生活費の確保、子たちへどのようなことをしてあげられたかを配慮した遺産配分、遺言書に父としての気持ちを付随しておく。このようなことに気を配った遺言書を残しておけばスムーズな相続にするための確立を上げることができます。相続人たちの感情が円満になる遺言書が必要です。

 

相続は財産がいくらあるのか、税金がいくらかかり支払いが可能かどうか等の数字を検証していくことももちろん大事です。そして相続には親子間や兄弟間等の感情も複雑に絡み合ってきますので、どういう想いで、どのように相続財産を分けてあげるのかを考えてあげた方がベターです。

 

エヌコンコードコンサルティング株式会社は、この対策立案・実行のお手伝いをしてまいります。

 

次回は遺言書と感情に関してのの実例を挙げ、述べてまいります。

 

 

 

 

 

 

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