相続対策としての生命保険②~相続税のかからない生命保険金~
2018.06.08
前回「相続対策と生命保険 」 https://n-concord.com/magazine/post-42/では生命保険に2つの顔があるというお話をしました。
民法の解釈と、税法の定義による生命保険の2つの顔です。前者は相続財産ではないと解され、後者は「みなし相続財産」として相続税の課税対象とするという2つの顔です。
「みなし相続財産」として相続税課税対象となる生命保険金は、
[契約者=親 被保険者=親 保険金受取人=相続人]の契約形態です。通常この契約形態で保険加入することが多いと思います。
では、契約形態を少し変えて
[契約者=相続人 被保険者=親 保険金受取人=契約者と同一の相続人]とします。
この契約形態で受け取った保険金は一時所得となり相続税の対象ではなくなります。この場合契約者が子となり保険料負担ができない場合がありますので、保険料を親が贈与してあげる方法もあります。
この場合の一時所得金額計算は「(受取保険金額ー支払保険料―50万円)÷2」となり、受取人の年間の所得と合算します。例えば、受取保険金額が1000万円で支払い保険料が800万円だったとしますと、
(1000万円―800万円―50万円)÷2=75万円と計算し、この75万円を受取人の年間所得に合算します。所得税の実効税率が最高の55%だとしますと、1000万円の保険金額に対する税額は41万2500円となります。(2018年6月時点)
「なんだ、結局税金がかかるじゃないかと」と思われるかもしれません。しかし相続税対象の生命保険金を受け取ったとして、遺産が沢山あり相続税率が50%のケースならば手元に残る保険金は1,000万円のうち500万円だけとなります。(生命保険金の相続税非課税枠は考慮していません)
個々のケースにより異なりますが、相続税対象の生命保険金に加入するよりも一時所得対象の生命保険に加入したほうが、支払う税金が減ることも多々あります。
このように少し考えて工夫をすることで手元に残る現金を多くすることも可能な場合があります。
なお総支払保険料は被保険者の年齢・性別や保険会社などによってことなってきますので、専門家に相談することをお勧めします。
なお、税務の取扱等については平成29年4月現在の税制・関係法令等に基づき記載しており、今後税務の取扱等が変わる場合があります。また、個別の税務取扱については税理士や所轄の国税局・税務署等にご確認ください。
次回は生命保険金の遺産分割対象外についてお話します。→ https://n-concord.com/magazine/post-78/