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民法改正の影響(相続登記)

2019.11.10

今年7月に行われた民法改正(相続法)が不動産登記に影響が出ているようです。

重要なことですので以下のケースで説明していきます。

 

被相続人:母

相続人:長男・次男

相続財産:自宅(土地・建物)3000万円、現預金1000万円

公正証書遺言あり:(内容)自宅は長男へ、現預金は次男へ相続させる

*今回は遺留分を考慮せずに進めていきます。

 

上記ケースは遺言がありますので、基本的に遺言通りの遺産分けを行います。

しかし遺言があったとしても、「法定相続人は他の相続人の了解を得ずに相続人全員がそれぞれの法定相続分を登記できる」のだそうです。

ということは、上記ケースでは次男の法定相続分は1/2ですので、次男は自宅の1/2の持分を登記できてしまうのです。

長男が登記をする前に次男が登記してしまうと、1/2は次男名義となるので持分を第3者に売却したり、担保にしてお金を借りる事もできるそうです。

第3者に売却されてしまった場合、困ったことに長男は自宅を第3者と共有している状態となります。

これをやられてしまった長男が取れる行動が、民法改正前と改正後で異なることになりました。

以下に改正前と改正後に分けて記していきます。

(改正前)

長男が持分を買った第3者を訴えれば、勝って全てを取りもどせたのだそうです。

これは最高裁の「遺言があれば遺言を優先する」と判断していたからです。

(改正後)

改正法では「法定相続割合を超える分については登記をしないと第3者に権利を主張できない」とされたため、先に次男が法定相続分を登記し第3者へ売却した場合、長男は第3者と自宅を共有せざるを得なくなるのです。共有を解消したい場合には第3者から持分を買い取る等の処置をしなければいけません。

上記ケースでは相続財産が4000万円です。それぞれの法定相続分は2000万円で遺言通りの相続財産は1000万円ですので、次男は自宅の1/3(1000万円/3000万円)の持分を登記できることになります。

また長男は、持分を買った第3者から持分を買い戻す場合価格の交渉を行う面倒やストレスも発生します。

第3者が持分を売ってくれない場合、将来自宅を処分したい時にもこの第3者の同意を得ないと処分できなくなります。

こうした問題を発生させないためには、他の相続人よりも先に相続登記をすることです。

今のところ相続登記をしなくても何も罰則がないため、登記をせずにほったらかしにしているケースも散見されます。このことが放置され持ち主が分からない空き家を発生させる原因の一つにもなっています。

これを契機に多くの人が相続登記を迅速にする意識を持ち始めるといいなと私は感じています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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