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相続財産をどうやって分けるの?④~遺言内容の重要性~

2020.03.27

コロナ感染拡大は止まる様相を見せず、終息が見えない状態が続いています。

上の写真は桜の花が咲いている風景です。

周りがどんな状況であろうと毎年しっかりと花を咲かせ、人の心に雅を与え続けてくれます。

私も自分が出来ることをしっかりとやっていこうと思えた写真ですので選択してみました。

 

さて、今回も相続財産の分け方について記載していきます。

前回の「相続財産をどうやって分けるの?~遺産分割を考える③~」では、①現物分割②換価分割③代償分割④共有分割という4つの相続財産分割方法について説明しました。

今回は事例を踏まえて分割方法を考えていきます。

 

ある家族で、お父さんが遺言をのこして他界しました。

お母さんは既に亡くなっていましたので、法定相続人は長男・次男・長女の3人です。

ザックリとした数字で記載しますが相続財産は、

自宅(土地・建物) 5000万円

現金・預貯金    1000万円

有価証券       500万円 

でした。

遺言の内容は、

「自宅の土地と建物は長男に相続させる。この土地を守っていってほしい。残った現金や有価証券は次男と長女で半分ずつ相続させる。これからも3人仲良くやってくれ。」

といったものでした。

法定相続人の3人は遺言を前にして話し合いました。

実はこのケースの相続税非課税枠は4800万円です。長男は購入したマンションに住んでいて小規模宅地の特例という有利な特典も使えないため、相続税がかかることになります。

そこで長男が「俺は自宅を相続するんだけどお金をもらえない。どうも相続税はかかるからしい。手持ちのお金もそんなに無いから、少し現金を相続させてもらえないか?」

と切り出しました。

そこで長女が「何言ってるの。お兄ちゃんは5000万円の価値があるものを相続するのよ。私は750万円しか相続できないのに、さらに貰えるものを減らせって言うの?ちょっと納得できない。遺言通りでいいんじゃない?家は売っちゃいなさいよ。」

と意見を述べました。

そこで次男が「兄貴はいつも新しい服を買ってもらってたけど、俺はお下がりばかりで服を買ってもらったことがほとんど無い。税金は自分で何とかしてくれよ」

と、さらに反論を重ねてきました。

長男はむきになり「親の介護は俺ばかりがやって、お前らは何もしてないじゃないか」

といった具合で、話し合いは収集つかなくなってしまいました。

遺産分割の結果は、自宅を相場より大分安く売却して現金に換えて全てを法定相続人3人で均等に分割するということになりました。(換価分割)

はた目にはきれいに分割したように見えますが、お父さんの自宅を残したいと思いは果たされませんでしたし、兄弟間でしこりが残りました。

また、相続税の申告・納税は相続発生から10ケ月以内に行わなければならないことを不動産業者もよく知っていいるので安く買いたたかれる可能性が高く、このケースでもそうでした。

 

お父さんが兄弟が揉めないようにと遺言を作成したわけですが、無駄になってしまいました。

何がいけなかったのでしょうか?

要因は

①公平感のある遺言内容ではなかった。

②遺留分を侵害している。

といったところでしょうか。

今ケースでは長男が5000万円、次男・長女が750万円という価値を相続する訳ですから公平でないのは一目瞭然です。

また今ケースの法定相続人達は遺留分について触れてはいないですが、遺言内容は遺留分を全く考慮していないので揉める要素を作り出してしまっています。

 

どうしたらよかったのでしょうか?

兄弟間の公平感を出すために、お父さんが自宅の維持をあきらめて不動産を売却して現金を3人で分ける内容の遺言を作成する。

つまり、今回の結果になったことをお父さんが先に遺言で示してあげること。こういう方法もあるでしょう。

自宅をどうしても引き継いでほしい場合は、生命保険を使って事前に対策を施す方法もあります。

次回は、この生命保険を使った対策についてお話しします。

 

 

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