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相続財産をどうやって分けるの?~遺産分割を考える⑥~

2020.04.12

コロナ情勢が長期化してきました。

最初はすぐに収まるかなとと思っていましたが、それがいつ終わるのかなに変わってきました。

そして今は終わりが見えません。今何ができるのかを考えなければなりません。行動もしなけれないけません。

終息後の世界がどうなっているのかも考えて動かなければなりません。

収束後の飛躍を期して活動していきたいものです。

 

さて、「相続財産をどうやって分けるの?~遺産分割を考える~」シリーズ今回で最後です。

最後も事例を見ながら遺産分割を考えていきます。

 

それでは以下の事例を見てみましょう。

被相続人には配偶者はいますが子供がいませんでした。

また被相続人のご両親はご健在でした。

といことはこのケースの相続人は、

配偶者、父、母の3人となります。

そして被相続人は公正証書遺言を残されていました。

遺言の内容は、財産は全て妻へ渡すというものでした。

遺言の付帯事項として、父母への育ててくれた感謝の気持ちと、兄弟への仲良く付き合えた感謝の気持ちが記載されており、

さらに財産を全て妻に残す理由として、妻には働いて稼ぐ能力がないという旨も記載されていました。

被相続人の気持ちがよく伝わってくる内容の遺言でしたが、

この遺言を見た父親は逆上し公正証書遺言を投げつけたそうです。

その後どうなったかの結論を申しますと、父親がお嫁さんに「遺留分減殺請求」をして遺留分相当額のお金を受取りました。

その後に被相続人の父親と被相続人の配偶者が2度と会わなくなったのは言うまでもありません。

 

被相続人は子供がいないので、自分がいなくなっても妻が困らないようにとしっかりと公正証書遺言を残しています。

では何故こうなってしまったのでしょうか?

 

一つは「遺留分」を考慮した遺言内容でなかったことが大きいでしょう。

被相続人は早世されていますので、まさか親が健在の時に自分がいなくなるとは想定していなかったのかもしれません。

しかし公正証書遺言の作成時期にはご両親がご健在ですので、やはり遺留分を考慮した遺言内容にするべきでしょう。

ちなみに親には遺留分がありますが兄弟姉妹には遺留分がありませんので、ご両親がいない状況であれば今回の遺言は十分に効果を発揮して法律上揉めることはありませんでした。

この公正証書遺言作成には司法書士の先生も携わっているとのことですので、司法書士の先生には遺留分も考慮した遺言内容にするアドバイスをすべきであったと私は思います。

 

二つ目の理由は、人間の感情の難しさであるかもしれません。

今になっては分かりませんが被相続人は親が健在の時に公正証書遺言を使う事態になっても、まさか自分の親が妻に「遺留分減殺請求」をするとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

被相続人もこの結果を見て天国で悲しんでおられることでしょう。

 

このケースで学べることは、対策を考える際に楽観的な予想を取り入れてはいけないということです。

今回は親がまさかそのような行動に出るはずがない、という予想です。

他に多く見られるのは、自分の子供たちは仲がいいから揉めるはずがない、妻がそういう行動に出るはずがないなどと考えて対策を作ってしまうことです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

今回のケースでは、被相続人があらかじめ生命保険に加入して、遺言に以下のような内容を盛り込むのも一つの手です。

「妻に全財産を相続させる。妻が受取人となっている生命保険金は代償分割交付金として両親に支払う。相続人が兄弟姉妹だけの時は全財産を妻に相続させる。」

こうした内容を遺言に盛り込んでおけば揉めることはなかったのではないでしょうか。

 

相続対策で偏った割合の分割を考えるときに、得をする人と損をする人が出てきます。

人間の感情は目まぐるしく変化しますので、損をする人が法律上訴えてくることができない状況を作り上げていく必要があります。

このことは子供がいる場合の相続にも共通していえます。

相続対策は、自身の財産状況をしっかり把握し、法律をよく考慮して分割方法を考える必要があります。

エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社はその対策立案・実行のお手伝いをいたします。

 

 

 

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