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リバースモゲージと家族信託

2020.04.25

4月23日の日本経済新聞に以下の記事が出ていましたのでご紹介します。

 

「オリックス銀行、リバースモーゲージに家族信託 認知症でも自宅売却可能に 」(4月23日(木)日本経済新聞)

オリックス銀行は高齢者向けに自宅を担保として老後の資金を融資する「リバースモーゲージ」で、契約者が認知症になっても家族が物件の管理や売却を代行できる商品を開発した。契約者が信頼する親族に物件の管理を委託する「家族信託」の仕組みを組み込み、認知症にかかった際に権限が移るようにした。

 

以上が記事の表題と記事冒頭文です。

 

リバースモゲージとは、自宅に住み続けながら自宅を担保に融資を受けるシニア層向けのローンです。

自宅を抵当に入れて融資を受ける点は、通常の住宅ローンと変わりません。

しかし住宅ローンは、まとまった資金の融資を受け、毎月元本と利息を返済しますが、リバースモゲージは担保価値の50%を融資枠として定期的や一括で融資を受け、元本の返済は死亡後もしくは契約期間終了後に担保不動産の売却代金で返済します。それまでの間は大体、毎月利息のみの返済となります。(担保価値50%の融資枠は取扱会社によって異なります)

リバースモゲージのメリットは、月々の返済が利息のみで負担が少なく、自宅に住み続けられるという点です。

返済の負担が少なくなるために住宅ローンの借り換え手段にも使えますし、老後の生活資金の確保にも利用できます。

 

その反面、リバースモゲージには以下のリスクもあります。

 

①長生きのリスク

自宅の担保価値に基づいて融資枠が決まっていますので、予想以上に長生きした場合は融資枠を使い切ってしまう可能性があります。

この場合、契約期間終了ということで元金と利息を一括返済しなければなりません。

一括返済できない場合は、自宅を売却して一括返済しなければなりません。

売却した価額が残債よりも低かったりしますと、目も当てられません。

以前、相続対策にリバースモゲージをしきりに勧める士業の方にお会いしたことがあります。

その方に「顧客が長生きしてしまったらどうなるのですか?」とお聞きしたことがあります。

その方の回答はこうでした。「そうしたら大変ですね」。私は絶句した思い出があります。

 

②担保価値が下がるリスク

リバースモゲージの融資枠は自宅の担保価値で決められていますので、担保価値が下がった場合には融資限度額を下げられるリスクがあります。

融資限度額が下げられて、借入残高を融資限度額が下回った場合には差額を返済しなければなりません。

また債務者が亡くなった場合には、担保不動産を売却して借入金の返済をすることになりますが、担保物件の価値が想定より下落していた場合には相続人が足りない分を返済しなければなりません。

 

③金利上昇リスク

リバースモゲージは、変動金利や一定期間固定金利のものが多くなっています。

そのため契約期間中に金利が上昇した場合は、当初予定していた融資金額より枠が小さくなくなってきます。

リバースモゲージは利息分だけ定期的に支払うものが多いので、金利上昇により毎月の負担額が増えます。

 

以上がリバースモゲージのリスクですが、今回はリバースモゲージと家族信託をセットにする記事のお話しです。

リスク②に挙げました不動産価値下落が生じてきた際、もっと価値が下落してしまう前に売却してしまう選択肢も出てきます。

その時に債務者が認知症になってしまっていたら、通常売却をすることができません。

しかし上記の家族信託をセットすることにより、債務者の代わりに予め指定しておいた家族が売却等の管理ができるようになります。

 

こういった商品を開発していただくことは、相続対策の選択肢が増えることになり喜ばしいことです。

今後も色々な商品が出てくることを心よりお待ちしています。

 

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