遺留分と生前贈与
2020.04.27
遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)について、被相続人(亡くなった人)の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことです。
この権利は被相続人の生前の贈与や遺贈によっても奪われることがありません。つまり生前贈与した金額遺留分算定において持ち戻され、遺言によっても奪うことのできない権利ということになります。
持ち戻しとなる生前贈与はどこまで遡るのでしょうか?
以前は期限なしで、どこまでも遡りました。
現状は、相続法改正によって相続開始前の10年間となっています。
といことは、早い時期に生前贈与したものについては遺留分算定に含まれませんので、相続対策の一つの手段として考えられるかもしれません。(人の寿命は計れませんが)
また相続法の改正により遺留分は金銭で支払わなければならなくなりました。
以前は不動産の持分で支払う等のことが可能でしたが、今は金銭のみです。
よって、遺留分を主張することを以前は「遺留分減殺請求」と言っていましたが、現在は「遺留分侵害額請求」と変わりました。
さて、生前贈与と遺留分で気を付けないといけない例を挙げてみます。
極端な例ですが、
被相続人:母A
相続人:長男B、次男C
相続財産:なし
生前贈与:5年前に長男Bへ2,000万円
以上のケースの相続はどうなるのでしょうか。
相続財産はありませんが、長男Bへの生前贈与2,000万円があります。
この2,000万円を遺留分算定の際に持ち戻すことになります。
遺留分の金額は、2,000万円×1/2×1/2=500万円 となります。
つまり、次男Cは500万円を「遺留分侵害額請求」できることになるのです。
そして、「遺留分侵害額請求」を受けた長男Cは現金で500万円を支払わなければなりません。
このようになってしまうと、長男Bと次男Cの関係は悪化してしまう可能性が高いでしょう。
上記のようなことにならないよう被相続人が健在の時に、生前贈与のやり方を変えなければならかったかもしれませんし、生命保険を使って未然にトラブルを防ぐことができたはずです。
やはり自分たちの子供は、すっと仲良く過ごしてくれた方がいいですからね。
エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社はその相続生前対策のお手伝いをします。