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Nマガジン

遺産相続対策に有効な生命保険の正しい使い方

2020.04.29

生命保険の種類は何があるの?

 

 

生命保険と一口に言っても、どんな商品があるのか分かりづらいですよね。

生命保険は①どんな時にお金をもらえるのか、と②保険期間、に分けて考えるといいです。

 

では「①どんな時にお金をもらえる」から見ていきましょう。

 

先ずは、生命保険の原点ともいえる「死亡」に備えることができるという特性を持っています。

人が亡くなられた時にお金が下りてくるのです。生命保険の最も重要な機能と言えるでしょう。

そして、ほとんどの生命保険で「高度障害」になった際にも「死亡」した際と同じ金額の保険金が下りてきます。ですので、保険証券等をよく見てみると「死亡・高度障害保険金」と記載されていることが多いです。「死亡保険金」は課税対象ですが、「高度障害保険金」は非課税です。

生命保険の高度障害とは、以下の状態になった場合に給付の対象となります。

高度障害保険金の受取対象となる高度障害状態

  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  • 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  • 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

(公益財団法人 生命保険文化センター)

私は、対象となる高度障害の3番目に注目しています。「中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの」という部分ですが、重度の若年性アルツハイマー等は該当してくるのではないかと思います。もちろん契約している保険会社に確認をした方が良いですが。

 

次にお金をもらえるケースですが、解約したり満期が来た際にお金がもらえる商品があります。貯金機能を備えた「貯蓄型商品」です。いわゆる「カケステじゃない」商品です。

 

この他、生命保険には死んだ時ではなく、「医療費の補助」をする保険や「介護費用の補助」をする保険、「就労不能状態」になった時に収入サポートをする商品があります。

そして「リビングニーズ」という給付があり、ほとんどの死亡保険金に特約として無料で付加されています。この特約が付加されていますと、被保険者が余命6ケ月と診断される病気に罹患した際に死亡保険金が前払いされるようになります。(請求があった場合)。治療費がかさむ場合の補填や、ご家族との最後の思い出作りに利用されているようです。

さて長くなりましたが、

「①どんな時にお金をもらえるか」 

をまとめてみましょう。

・死亡

・高度障害

・満期・解約時等

・医療

・介護

・就労不能

・リビングニーズ

となります。

 

次は「②保険期間」です。

一生涯保障される「終身」。

期間が決まっているものが「定期」。

「定期」には何歳までといものや、何年間というものもあります。

 

では、相続対策に使う生命保険は何が最適なのでしょうか?

①どんな時にお金をもらえるか

②保険期間

で考えますと、

①亡くなった時に支払われるもの

②終身

となります。

相続対策は亡くなられた時の対策であり、この相続は何歳で起きるのか何年後に起きるのか誰にも分からないからです。

相続対策で加入した生命保険の保険期間が70歳までとなっていたら、70歳までに死んでくださいね、という意味になってしまいますよね!

 

 

 

相続対策の生命保険は、どんな形態で契約すればいいの?

 

 

生命保険の契約は、以下の立場に誰がなるかを考えます。

①契約者

②被保険者

③保険金受取人

この3者が誰になるかによって、受け取った保険金のお金の種類が変わってきます。

お金の種類が変わると税金のかかり方が変わってきますので要注意です。

 

どのような違いになるのか、ケースごとに見てみましょう。

 

ケース1

契約者:父親

被保険者:父親

保険金受取人:子供

この契約形態で受け取った保険金は、「相続税」の対象となります。

父親が自身で作った財産を、父親死亡後に遺族が受け取ったという解釈になります。

 

ケース2

契約者:子供

被保険者:父親

保険金受取人:子供

この契約形態で受け取った保険金は、「所得税」の対象になります。

子供が自分自身のお金を使って、子供自身がお金受取ることになりますので一時所得扱いとなり「所得税」の対象となるのです。

 

ケース3

契約者:父親

被保険者:母親

保険金受取人:子供

この契約形態で受け取った保険金は、「贈与税」の対象となります。

お父さんがお母さんの生命保険に加入して、保険金は子供が受け取ると、お金を父親から子供への贈与があったとみなされます。

 

以上3つのケースを見てきましたが、相続対策で使うにはどのケースを使うのがいいのでしょうか?

先ず、ケース3は絶対に使わない契約形態だと思ってください。

なぜならば、「贈与税」課税になりますと一番多くの税金を払うことになりますし、このお金の移動のさせ方は意味が無いからです。

 

では、残るはケース1とケース2ですが、どちらを使うのでしょうか?

答えは両方です。ケースバイケースで両方とも相続対策に有効です。

 

ケース1の、保険金が相続税対象になる契約を使う場合からお話ししていきます。

最初に生命保険金になぜ相続税がかかるのかを説明します。

生命保険金は、実は民法上、相続財産ではありません。保険金受取人固有の財産と解釈されています。

ということは生命保険金を受け取った人が、元々持っていた財産となり、遺産ではないのです。

遺産ではないので相続人で分ける必要のない「遺産分割対象外」財産とされます。

*ただし遺産の大部分を生命保険金に変えたケースでは、分割対象とした判例もありますのでご注意ください。

生命保険金は相続財産ではないのですが、相続税はかかります。

何故かというと税法上は「みなし相続財産」として課税をしているのです。

生命保険金は、民法と税法で違う顔を持った財産なのです。

以上の特性を利用して、生命保険金をスムーズな分割を実現するためのツールとすることができます。

例えば以下のケースで使えます。

 

被相続人:父

相続人:長男、次男、三男

相続財産:自宅(土地・建物)10,000万円

     現金・預貯金 2,000万円

遺言あり:内容→自宅は長男へ、他の財産は次男と三男で半分ずつ

 

この場合、長男は1億円の価値あるものを相続し、次男と三男はそれぞれ1,000万円ずつ相続することになります。

ここで問題となるのが「遺留分」です。「遺留分」については弊社Nマガジン、「遺留分について」をご参照ください。

今回のケースでは、次男と三男はそれぞれ2,000万円ずつの「遺留分」を持っています。

しかし実際に相続できるのは1,000万円ですので、「遺留分」には1,000万円足りません。

この足りない1,000万円を次男と三男は欲しかったら貰えるわけです。

欲しい場合「遺留分侵害額請求」を、不動産1億円を相続した長男にするわけです。

この請求がなされたら、長男は絶対に支払わなけらばなりません。長男は現金を相続していませんので、手持ちの財産から支払うか、無ければ不動産を売ったり、分割で支払ったりしなければなりません。結構大変だと思いますし、兄弟3人の感情も平穏なものではなくなってしまいます。

こうならないように生命保険の登場です。

 

以下のような生命保険に加入して、遺言を残します。

契約者:父

被保険者:父

保険金受取人:長男

保険金額・保険期間:2,000万円・終身

遺言:内容→自宅は長男。他の財産は次男と三男で半分ずつ。生命保険金2,000万円を長男が受け取る。この生命保険金を、遺留分の「代償分割交付金」として、長男は次男へ1,000万円、三男へ1,000万円支払うこと。これからも3人仲良く過ごしていってほしい。

こうした生命保険契約と遺言を残すことにより遺留分の問題は無くなり、円満な分割となる可能性がグッと高まります。

 

ケース1の相続税課税契約が良いケースをもう一つご紹介します。

生命保険金は、相続税法上、特典を与えられています。

生命保険金額500万円×法定相続人数は相続税が非課税の財産となります。

そして非課税とするには相続税対象の契約形態でないとなりません。

この非課税ルールを利用しない手はないと思います。

 

次は、ケース2の所得税扱いを利用する方法です。

例えば、

契約者:長男

被保険者:父

保険金受取人:長男

保険金額:2000万円

総支払保険料:1900万円

の契約をして保険金を受け取ったとします。

この保険金は一時所得として所得税の対象となります。

一時所得の計算は、

(一時所得の金額ー経費ー特別控除額50万円)×1/2

となります。一時所得扱い生命保険金を受け取った場合の経費は支払った保険料です、

つまり今回のケースでは。

(保険金額2,000万円ー支払保険料1,900万円ー50万円)×1/2=25万円 です。

この25万円を、その年の所得に乗せるわけですので、所得税・住民税の最高税率の55%で計算したとしても13万7500円です。

相続税が多額にかかる方にとっては、かなり有効な手段となるのではないでしょうか。

ちなみに、保険料負担は長男がすることになるのですが、支払い能力がない場合は、保険料を父が贈与してあげる方法を取ります。

贈与税は暦年贈与制度を使えば、毎年110万円までの贈与は非課税です。

将来かかる相続税額と比較して検討することをお勧めします。

 

以上見てきましたように、生命保険はケースごとに最適の生命保険を選択して契約していくと、生命保険にしかできない相続対策をすることができます。

そして生命保険は相続発生を原因として、現金を発生させる精密な装置です。

銀行口座に入っている被相続人の預貯金は、相続人達が現金化するのに時間を要することが多いですが、

生命保険金は、書類が保険会社に到着してから4営業日後には受取人の口座に入金されます。(4営業日過ぎての着金の場合、遅延利息金が保険会社から支払われます)

相続の際に一番現金化しやすい財産なのです。

 

上手に生命保険を利用して、円満な財産の承継をしていきましょう。

エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社はそのお手伝いをしていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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