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贈与はどうやってすればいいの?~最適な贈与方法を伝授します~

2020.04.30

相続対策には生前贈与がいいらしいよと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

そう聞いて、子供名義の銀行口座を作り、子供のためにその口座へ定期的にお金を入れてあげている方にも多く出会ってきました。

子供想いの親は多いのだなと、つくづく感じます。

さて贈与は子供名義の口座にお金を入れておくだけでいいのでしょうか?

せっかく子供のために贈与していたことが、相続対策としてしっかりと機能を果たせるように、贈与についてじっくりと考えていきます。

 

 

贈与契約とは?

 

贈与契約とは、当事者の一方が無償で財産を与えることを約し、相手方がこれを受取ることを約することで成立します。(民法549条)

また、諾成(合意だけで成立し書面の作成を要しない)・無償(一方だけが経済的負担を負う)・片務(一方だけが法律的な負担を負う)契約として分類されます。

つまり、AさんがBさんに「この腕時計をあげるよ」と言い、Bさんが「ありがとう」というだけで贈与契約は書面なしで成立するということです。

ただし書面が無く贈与物が相手方の手に渡っていない場合、贈与者のAさんは、いつでも契約を取り消すことが可能になります。

 

では冒頭で述べました、「親が子供名義の銀行口座を作成し、その口座へ定期的にお金を振り込んでいる」という贈与と思っている行為はどうなのでしょうか?

親が子供の知らないところで勝手に銀行口座を作成して、子供に知らせずに口座へ振り込んでいる場合には、贈与契約は成立していないのではないでしょうか。

なぜでしょうか?

もう一度書きます。「贈与契約とは、当事者の一方が無償で財産を与えることを約し、相手方がこれを受取るということを約することで成立する」のです。

上記の行為は、子供が贈与されていることを知らないと思われます。ということは、「相手方がこれを受取るということを約することで成立する」という贈与契約要件を満たしていないのです。よって贈与契約はなかったことになり贈与も否定される可能性があるということです。

 

 

どうやって贈与すればいいの?

 

贈与契約は、当事者双方の合意が必要な「諾成契約」です。

ですので、相続対策として親や祖父母が、子や孫に生前贈与する場合に「子や孫も贈与に合意している」必要があるのです。

つまり子や孫に「贈与している」事実を知らせる必要があるのです。

さらに、口頭だけの契約では証明等することが困難ですので、「贈与契約書」を作成して当事者双方で保管しておく必要もあります。

子や孫が未成年者である場合は、「贈与契約書」に親権者の署名・押印も必要となってくるでしょう。

また、贈与した子・孫名義の口座のお金を親や祖父母が使ったりしてはいけません。子や孫に贈与したお金は、すでに子や孫のお金なのですから。ですので、相続対策だからと言って無理に贈与することも避けた方がいいでしょう。自分自身の生活費、遊興日、医療費、介護費などがかかることも考慮しましょう。

 

 

贈与方法はいろいろあるの? ~贈与の種類~

 

贈与をしますと贈与税が課税されます。

そして各種の贈与方法に非課税枠も設けられていますので見ていきましょう。

 

①暦年贈与

毎年1月1日~12月31日までに、贈与された人1人あたり110万円までは非課税であり、非課税枠内の贈与であれば申告も不要です。

この非課税枠は、毎年使うことができます。

 

 

②贈与税の配偶者控除

20年以上婚姻期間がある夫婦間で居住用不動産(またはその購入資金)を贈与した場合には、2000万円までは非課税です。

上記①暦年課税の非課税枠110万円と合わせて、2110万円まで非課税となります。

贈与を受けた人は翌年3月15日までに、贈与された不動産(または贈与された資金で購入した不動産)に居住する必要があり、非課税枠内の贈与であっても申告が必要です。

この制度を使えるのは1回限りです。

 

 

③相続時精算課税制度

贈与があった年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母から、贈与があった年の1月1日時点で20歳以上の子・孫への贈与が対象です。

この制度を使うと、相続が起きるまでの贈与額2500万円までが非課税となります。2500万円を超えた部分に関しては、20%の贈与税が課されます。

非課税枠内の贈与でも申告が必要となります。

この制度は特殊で、相続が起きた時点で、この制度を利用して贈与した金額が相続財産に持ち戻されて相続税が課税されます。非課税枠を超えて20%課税されていた贈与税額は相続税額から控除されます。

相続時に持ち戻された贈与財産の中に不動産がある場合、不動産は贈与時点の時価で計算されます。ということは時価が高騰しそうな不動産は、この制度を利用する価値があるかもしれません。価値が上がる前の贈与時点の時価で計算できますので。

また相続時に贈与額を持ち戻して計算しても相続税がかからない方にも有効な制度です。2500万円まで非課税で生前贈与できることになりますので。

ただし、「①暦年課税」とは併用できませんので、どの制度を使うとメリットが大きくなるかを考えて選択しなければなりません。

 

 

④住宅資金等の贈与

20歳以上で所得が2,000万円以下の者が、父母や祖父母から住宅資金の贈与を受けた場合、一定の金額が非課税となります。

非課税限度額は以下の通りです。

 

~令和3年3月31日

省エネ住宅等 1,500万円   その他の住宅 1,000万円

令和3年4月1日~令和3年12月31日

省エネ住宅等 1,200万円   その他の住宅 700万円

 

適用できる条件は以下の通りです。

・受贈者は贈与者の直系の子・孫で、贈与を受けた年の1月1日の時点で20歳以上であること

・贈与を受けた年の受贈者の所得が2,000万円以下であること

・住宅の売主、建築工事の発注先が配偶者や親族でないこと

・贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅を取得して住むこと。または住むことが確実であること

・床面積が50㎡以上240㎡以下で、その半分以上を居住用にすること

・新築または築20年(耐火建築物は25年)以内または一定の耐震基準を満たしていること

 

この制度を利用する場合、非課税枠内の贈与でも申告する必要があります。

この特例を適用してもなお残額がある場合は、①暦年贈与や③相続時精算課税制度の枠を使うこともできます。

 

⑤教育資金の一括贈与

令和3年3月31日までに、30歳未満の人が父母や祖父母などの直系尊属から教育資金として一括贈与を受けた場合は、受贈者一人につき1,500万円まで非課税となります。このうち、学習塾や習い事など学校以外に支払うものは500万円までが非課税となります。

この制度を適用するためには、贈与を受けた人が金融機関に「教育資金口座」を開設し、金融機関経由で税務署に届け出なければいけません。

贈与資金を「教育資金口座」に預け入れ、必要になった都度、引き出します。

その際に、教育費の領収書を所定の期日までに金融機関へ提出する必要があります。

実は教育資金は、必要な時に必要な額だけを贈与することは元々非課税です。

この制度を利用する手間と比べて、どちらが良いかを考えるべきでしょう。

贈与者の余命が少ない場合は、この制度を利用する価値は高いでしょう。

 

⑥結婚・子育て資金の一括贈与

令和3年3月31日までに、20歳以上50歳未満の人が父母や祖父母などの直系尊属から結婚や子育ての資金として贈与を受けた場合は、受贈者一人につき1,000万円まで贈与税が非課税となります。このうち、結婚のための資金は300万円までが非課税となります。

この制度を利用するためには、贈与を受けた人が金融機関に「子育て・教育資金口座」を開設し、金融機関経由で税務署に届けなければいけません。

贈与資金を「結婚・教育資金口座」に預け入れ、必要になった都度、引き出します。

その際に、教育・子育て費用の領収書を所定の期日までに金融機関へ提出する必要があります。

 

⑦障害者への贈与

障害者への贈与は、以下の金額が非課税になります。

特別障害者 6,000万円

特別障害者以外の特定障碍者 3,000万円

この制度を利用するためには、信託銀行に資金を信託し、金融機関を経由して税務署に届けます。

贈与資金は信託しますので、受贈者である障害者に生活資金等として定期的に支払われることになります。

 

以上、贈与の種類を見てきましたが、自分にはどのケースがぴったりなのかをしっかりと考えなけらばなりません。

どれを選択するのかで、ゴールが全く変わってくることもあります。

どれを選択するのかの判断には、専門家の助言等も必要かもしれません。

エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社はその選択をするお手伝いをします。

 

 

 

 

 

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