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遺産を孫へ相続させたい~孫は相続人なの?孫は相続できるの?~

2020.07.24

「相続対策を考えていて、財産の一部をかわいい孫に譲りたい。そうすることにより相続税対策になるということも聞く。孫に財産を相続させることができますか?」

こんなご相談を受けることがあります。

 

では、お孫さんは相続人でしょうか?

いえ、相続人ではありません。

それでは、お孫さんに財産を譲れないのでしょうか?

いえ、法定相続人でなくても財産を譲ることができます。

 

孫へ財産を

お孫さんへ財産を譲る方法を以下にご紹介します。

①生前贈与

お孫さんへ財産を譲る代表的な方法です。お孫さんへ生前贈与をすることにより子供という次世代一つ飛ばすことにより次の相続税を減らす効果が生じます。

生前贈与の方法にもいくつかありますので見てみましょう。

ア)暦年贈与

贈与された人一人当たり年間110万円までは非課税となる制度です。非課税枠内の贈与額であれば申告の必要もなく、年に1回、何回でも使うことのできる制度です。長期間にわたりコツコツと毎年非課税枠内で贈与すればかなりの金額を非課税で贈与することができます。

しかし非課税枠内だからといって贈与の痕跡を残すようなことをしていないと、税務当局から贈与を否認されることもあります。贈与契約書を毎回作成して贈与者と受贈者の双方が保管する等のことが必要となります。お孫さんが未成年者である場合には贈与契約書に親権者の署名捺印も必要となるでしょう。

イ)相続時精算課税制度

この制度を使ってお孫さんへ贈与する場合は、お孫さんの年齢が20歳以上である必要があります。(贈与のあった年の1月1日時点)

この制度を使った場合は2500万円までは贈与税がかからず、2500万円を超えた部分に対して20%の贈与税がかかります。贈与税はかからないのですが、相続が起きた時にこの制度を使って贈与した金額は相続財産に持ち戻されます。相続税がかからない人は2500万円まで生前に贈与できて相続税も発生しないことになりますが、2500万円も贈与できる人が相続税のかからない人である可能性は低いかもしれませんね。

留意点として、この制度を使って贈与すると上記ア)暦年贈与制度を使うことは2度とできなくなりますので、どの制度を選択するかは慎重に検討する必要があります。

ウ)住宅資金等の贈与

この制度もお孫さんの年齢が20歳以上である必要があります。加えてお孫さんの所得が2000万円以下である必要もあります。(贈与を受けた年の所得)

その他に諸条件がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。→ 「贈与はどうやってすればいいの?」

エ)教育資金の一括贈与

令和3年3月31日までに、30歳未満のお孫さんへ教育資金として1500万円まで一括して非課税で贈与することができます。この制度を使って贈与されたお金は自由に使えるわけではなく、あくまでも教育資金に使う必要があります。ですので、金融機関に「教育資金口座」を開設して税務署に届け出て、教育費で使う都度領収書を金融機関に届け出て引き出す必要があります。

お孫さんが30歳を超えた際に教育資金口座に余っている分に対しては贈与税がかかります。

この制度を利用しなくても教育費がかかるたびに都度贈与することは元々贈与税はかかりません。この制度を選択すると手間はかかりますので、贈与者が余命いくばくもない等のケースでこの制度を利用して一括贈与するといった具合でしょうか。

オ)結婚・子育て資金の一括贈与

令和3年3月31日までに、20歳以上50歳未満のお孫さんへ最高1000万円まで贈与税が非課税となります。この制度を利用する場合は「子育て・教育資金口座」を開設して税務署に届け出る必要があります。

 

*今回のテーマがお孫さんへの贈与のため、受贈者をお孫さんに特定させていただいております。本来、相続時精算課税制度等は子などの直系卑属が対象となっております。

 

②遺言作成

遺言によりお孫さんへ遺贈することができます。

この場合、法定相続人ではないお孫さんが相続をしますので相続税額に2割加算があることにご留意ください。(子が死亡していて孫が代襲相続した場合に加算適用はありません)

遺言作成の詳細につきましては、こちらをご覧ください。→ 「揉めない相続にするための遺言作成」

 

 

まとめ

以上見てきましたように、法にのっとった手段を用いれば合法にお孫さんへ財産を渡せることが分かりました。生前贈与制度利用した場合は次の相続人である子を飛ばして孫へ財産を渡すために、子への相続の際の相続税を軽減する効果があることも分かりました。かといって、全ての財産を孫へ渡して子へ渡す財産がほとんどないと言ったことになりますと揉めてしまうかもしれません。民法、税法に加えて人間の感情というものもくみ取り遺産の分割方法を考えていく必要があるでしょう。

エヌ・コンコード・コンサルティング株式会社は、その考えをまとめるお手伝いをします。

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