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Nマガジン

お客様のご相談対応で感じること~安易な不動産の共有~

2020.10.17

先日こんなご相談をいただきました。

「先日、母親に遺言を書いてもらった。私は自己破産申請中なので、私に遺産が相続されないようにしてもらった。不動産は孫2人に、他の現金や有価証券は相談者以外の子2人へという内容だ。問題はないか?」 といったものです。

私は、 「孫に相続させる不動産は複数あるですか?」とお聞きしました。

そのお返事は「一つだ」です。 となりますと、一つの不動産を二人で相続することになりますので共有することになりますよね。

そこで私は、 「お孫さんに不動産を共有させる事は避けるべきです」と受け応えました。

すると、ご相談者は「50%ずつの共有にするから問題ない」とおっしゃいましたので、私は以下の観点から共有は望ましくないということをご相談者にお話ししていきました。

・共有不動産を売却等する場合には共有者全員の同意が必要なこと

・共有者は現在仲が良くても将来も仲がいいかは分からないこと ・共有者となる孫2人は子供だが、将来は結婚して子供を産み別の可能性を築く可能性が高いこと(孫2人は女性)

・共有者が亡くなると共有持ち分が相続され、共有者同士が疎遠になったり共有者人数が増えたりすること

・不動産を使用している人は使い続たいと思う傾向が強く、使用していない人は売却してお金に換えたいと思う傾向が強いこと

以上の理由により、共有不動産は将来売却が難しくなる可能性が高くなり、それぞれの思惑違いにより対立が生まれやすくなってしまうのです。

この話を聞いてくれた相談者は色々と想像をしてくれました。 ご自身の親の兄弟達の中が悪かったこと。相続の時の対立が激しかったこと。ご自身が兄弟とそれほど仲が良くないこと。etc

そして不動産共有は避けた方がいいことをご理解いただけたようです。

しかし一点の反論がありました。 「現状の遺言内容は、孫2人が不動産を共有で相続した後にどちらかが亡くなったらもう片方の孫が相続することになっているはずだ。だから共有者が疎遠になったり人数が増えたりすることはない。」です。

私はそれはあり得ないことをお話ししました。遺言は自分が死んだ時に自分の財産を誰に渡すかを決めることができますが、財産を相続した人が死んだ後に誰に相続させるかまでは決めることができません。次を決めることはできますが、次の次以降を決めることはできないのです。

次の次以降を決めることができるのは信託契約の受益者連続信託ですが、受益者連続信託についてはこちらで述べていますのでご覧ください。→ https://n-concord.com/magazine/post-1272/

このことを説明しましたところご相談者は 「弁護士の先生が作成しているので可能なはずだ」とおっしゃいました。

私は、弁護士さんが付いているのにこんなことがあるのかという疑問がわきました。そしてふと思いました。

「母上様がご存命の時にお孫さんのどちらかが亡くなったら、不動産はもう片方の孫にすべて相続させるといった内容ではないですか?」 とお聞きしましたところ 「そんな内容だったかもしれない。」 となりました。 私は、そうであってほしいと心の中でつぶやきました。

とにかく共有にする内容は止めて分割方法を考え直した方がいい。分割方法を考える際には遺留分人も十分配慮してほしいとお伝えしてご相談終了となりました。遺留分も大変重要なポイントとなりますので遺留分について知りたい方はこちらをご覧ください。→ 「遺留分について」

 

まとめ

相続対策は民法と税法を十分に考慮して、不動産の特性や人間の心理状態、将来の人間関係等多方面の観点から立案する必要があります。そうしないと対策してみてはいいが、こんなはずではなかったという結果を生んでしまいます。今回のケースでは分割の方法で安易に共有ということを選択してしまいました。これは違法でもない正規の方法ではあります。故に簡単に事は済んでしまいます。しかし、取りあえずに過ぎません。その後にどうなるかということを想像しなくてはならないのです。不動産は文字通りに動かすことができない財産です。動かすことができない財産の所有方法はよく考えて決める必要があるのです。しかしながら、人は相続の経験を人生の中で数回しかしません。このことを自分たちだけで考えて行動することには困難を伴います。相続の専門家を大いに活用して相続対策を考えていくと、きっと満足のいく結果を得ることができるでしょう。

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